【登辞林】(登記関連用語集)


[ほ]

保管供託 目的物の保管を目的とした供託。保管供託の例としては、内閣総理大臣の命令により、銀行・保険会社等の業務又は財産の状況に照らして必要があると認められる場合の財産の供託(銀行法第26条、保険業法第132条等)、質権の目的となっている金銭債権の弁済期が、質権者の債権の弁済期前に到来した場合に、第三債務者がする供託(民法第366条第3項)、弁済の目的物が天然果実である等、供託に適しない場合等に、弁済者が裁判所の許可を得て、これを競売しその代金をもってする供託(民法第497条)等が挙げられる。

保管振替機関 株券等の保管及び振替に関する法律(昭和59年5月15日法律第30号)に規定されていた株券等の保管・振替に関する業務を行う者として、主務大臣により指定を受けた株式会社。(株)証券保管振替機構が指定されている。

戊区(ぼく) 旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号)施行当時において、土地の登記簿につき、賃借権に関する登記事項が記載された区。現在の不動産登記制度においては、存在せず、当該登記事項は、乙区に記載される。(→甲区)(→丙区)(→丁区

牧場 不動産登記規則第99条に規定されるの土地の地目のひとつで、家畜を放牧する土地を指し、牧畜のために使用する建物の敷地、牧草栽培地及び林地等で、牧場地域内にあるものは、全て牧場とされる(不動産登記事務取扱手続準則第68条、第69条)。

保佐 民法の規定により、認知証、知的障害等、精神上の障害により物事の判断能力が著しく不十分な者について、財産管理等を行い保護をする制度。(→後見)(→補助)

保佐人 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者(被保佐人)に対して、家庭裁判所の保佐開始の審判により、保佐の事務を行う者として選任された者。保佐人は被保佐人の行う重要な行為について、同意権を有し、家庭裁判所の代理権の付与の審判により、特定の法律行為について代理権を行使することができる。

補助 民法の規定により、認知証、知的障害等、精神上の障害により物事の判断能力が不十分ではあるが、その程度が軽度である者について、財産管理等を行い保護をする制度。(→後見)(→保佐)

保証 (1)商品・製品の品質や、人の人格・技術・能力等が、確かであること、間違いのないことを証明すること。行為の結果に責任を持つこと。
(2)主たる債務者がその債務を履行しないときに、保証人が、その履行をする責任を負うこと(民法第442条第1項参照)。保証契約。(→連帯保証)(→共同保証)(→信用保証)(→根保証)(→信用保証協会
(3)ある者又はある行為について将来発生し得る損害を担保すること。又は、その担保。(→身元保証)(→保証金)(→保証供託)
(4)手形法又は小切手法に定める方式により、手形上又は小切手上の債務の支払を担保すること(手形法第30条、小切手法第25条)。(→手形保証)(→小切手保証
(5)旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号、平成17年3月7日廃止)に規定されていた、登記申請をするにあたり、登記義務者の権利に関する登記済証が滅失している場合において、登記を受けたことのある成年者2人以上が、登記義務者に人違いの無いことを証明すること。当該証明した書面(保証書)、及び、登記義務者を保証した者(保証人)が登記を受けたことのある登記簿謄本(又は登記事項証明書)が添付書面とされていた。平成17年3月7日、新不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)施行の際に廃止。

保障 権利、利益、身分等を保護、保全すること。(日本国憲法第11条、第12条、第15条第3項、第20条、第21条、第23条、第28条、裁判所法第48条、自動車損害賠償保障法(昭和30年7月29日法律第97号)第1条等参照)。

補償 財産的な損失を償うこと。(日本国憲法第29条第3項、第40条、土地収用法(昭和26年6月9日法律第219号)第68条以下、鉱業法(昭和25年12月20日法律第289号)第53条の2等参照)。

保証委託契約 債務者が債権者に対して負担する債務について、保証人になることを委託する契約であり、債務者と保証人との間で締結される。保証人は、この契約により、別途、債権者と保証契約を締結することになるが、保証委託契約と保証契約はそれぞれ独立した契約であり、保証委託契約が無効となった場合も、保証契約は影響を受けない。
保証委託契約に基づく求償債権を担保するための、保証人を抵当権者とする抵当権設定の登記の原因は、「年月日保証委託契約による求償債権、年月日設定」となる。住宅ローンの場合、この保証人の立場になるのは、金融機関系の保証会社であることが多い。

保証会社 主に住宅ローンにかかる債務につき、業として保証を行う会社。債務者が銀行等の金融機関と金銭消費貸借契約を締結するにあたり、保証会社は、債務者と保証委託契約を締結し、この保証委託契約による求償権を担保するために、住宅ローンにかかる物件に対し、保証会社を抵当権者とする抵当権を設定するのが一般的である。

保証供託 (1)広義の担保供託
(2)営業上の保証供託(営業保証供託)。

保証金 一般的には、契約における債務を担保するために交付される金銭。
不動産の賃貸借においては、当事者の意思もしくは解釈により、敷金建設協力金等の主旨であったり、又は複数の主旨を併せ持つこともある。通常、賃貸借終了時には、賃貸人は返還義務を負うが、一部消却する旨が定められることもある。
この他、雇用契約等継続的な契約の当事者の一方が将来の損害賠償債務を担保するため相手方に交付する、「身元保証金」(民法第629条、公証人法(明治41年4月14日法律第53号)第19条等)、刑事訴訟法上、勾留中の被告人について保釈を許可する場合に裁判所が定める「保釈保証金」(単に「保証金」又は、「保釈金」ともいう)(刑事訴訟法(昭和23年7月10日法律第131号)93条)等がある。

保証契約 債務者が債務を履行しないときに、保証人がかわってその債務を履行することを内容とする契約であり、債権者と保証人との間で締結される。保証契約は、書面又は電磁的記録によらなければ効力を生じない(民法第446条第2項、第3項)。以前は、方式を要求されていなかったが、平成16年の民法改正(平成16年12月1日法律第147号、平成17年4月1日施行)により、同規定が追加された。保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償等、その債務に附随するすべてのものを包含し、保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる(民法447条)。保証人の負担が、主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減縮される(民法第448条)。
保証契約は、保証人が債務者から委託を受けてすることが多いが、委託を受けなくても契約は成立し、保証委託契約の無効は、保証契約に影響を及ぼさない。
保証人の債務者に対する求償権を担保するための、保証人を抵当権者とする抵当権設定の登記の原因は、「年月日保証契約による求償債権、年月日設定」となる。保証人の債権者に対する保証債務を担保するための、債権者を抵当権者とする抵当権設定の登記の原因は、「年月日保証契約、年月日設定」となる(登記研究441号116頁)。(→代位弁済

保証債務 主たる債務者がその債務を履行しないときに、保証人が、その履行をする責任を負う債務(民法第446条第1項)。保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてを含むが、保証債務についてのみ違約金又は損害賠償の額を約定することもできる(民法第447条)。保証人の負担が主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減縮される(民法第448条)。
保証債務は、付従性を有し、主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立せず、主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する。ただし、行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者が、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合において、これと同一目的の独立の債務を負担したものと推定される(民法第449条)。また、保証債務は随伴性を有し、主たる債務について債権の譲渡があると、保証債務は、これに伴って移転する。

保証書 (1)商品・製品等の品質等を保証した書面。一定期間無償で修理・交換等をする旨が記載されていることが多い。
(2)旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号、平成17年3月7日廃止)において、登記申請をするにあたり、登記義務者の権利に関する登記済証が滅失している場合に添付を要するとされていた、登記を受けたことのある成年者2人以上が、登記義務者に人違いの無いことを保証した書面。保証書による手続きは、平成17年3月7日、新不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)施行の際に廃止された。

保証人 (1)債権者との保証契約により、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者(民法446条)。債務者が保証人を立てる義務を負う場合、債権者が指名した場合を除き、保証人は、行為能力、及び、弁済する資力を有することを要する(民法第450条)。保証人は、催告の抗弁権検索の抗弁権を有するが、連帯保証人は、これらの権利を有しない(民法第452条〜第454条)。主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対してもその効力を生じ、保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる(民法第457条)。保証人は、一定の場合に、主たる債務者に対し求償権を行使することができる(民法第459条〜第465条)。
(2)ある者やある行為について将来発生する損害を担保する者。(→物上保証人
(3)手形法又は小切手法に定める方式により、手形上又は小切手上の債務の支払を担保する者(手形法第30条、小切手法第25条)。保証人は、被保証人と同一の責任を負い、債務の方式の瑕疵による場合を除き、担保した債務が無効であっても、保証は有効とされる(手形法第32条、小切手法第27条)。これらの保証人は、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益を有しない。
(4)旧不動産登記法(明治32年2月24日法律第24号、平成17年3月7日廃止)において、登記申請をするにあたり、登記義務者の権利に関する登記済証が滅失している場合において、登記義務者に人違いの無いことを保証した者。保証人は、登記を受けたことのある成年者で2人以上要するとされていた。保証書による手続きは、平成17年3月7日、新不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)施行の際に廃止された。

保証連帯 同一の債務につき、保証人が複数いる場合において(共同保証)、保証人間で全額弁済の特約を有するもの。保証連帯の場合は、分別の利益は否定されるが、連帯保証と異なり、主たる債務者に対し、連帯して債務を負担していないので、催告の抗弁権、及び、検索の抗弁権は認められる。

補助人 精神上の障害により判断能力が不十分ではあるが、その程度が軽度である者(被補助人)に対して、家庭裁判所の補助開始の審判により、本人の行う法律行為を補助する者として選任された者。家庭裁判所の審判により、特定の法律行為について、同意権、代理権が付与される。

1 2 3 4 5

このページのトップへ

Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved